今日(2月1日)付けのFonte(不登校新聞のネット版)に、先日開かれた「精神科早期介入の問題を考える会」の発足式の様子を伝える記事がありましたので、お読みいただければと思います。(当日不登校新聞の取材が入っていました。)
この記事にもあるように、「こころの健康推進議員連盟」が先月12月1日に発足しています。この議連は、「こころの健康基本法案(仮称)」を議員立法として、今年の通常国会へ提出することを目指すもの。この法案が成立すれば、精神科早期介入が本格始動することにもなります。
そのような会の発足を喜ぶ、こんな記事がありました。政治家の名前が並んでいます。
12月1日、参議院議員会館において、超党派の国会議員による「こころの健康推進議員連盟」が発足しました。101集会室で午後2時から始まった発足総会は、20名を超える国会議員と構想実現会議に携わってこられた医師や家族など200余名が参加しました。 家族会から、みんなねっと川﨑理事長と永井氏、大阪・倉町会長、京都・野地会長、兵庫・豊田氏、東京・野村会長と顔を合わせました。 議員連盟の結成に携わってこられた石毛えい子議員の司会で始まりました。 発起人を代表して元厚生労働大臣の尾辻秀久参議院副議長が「石毛先生が議連を立ち上げたいといってこられた。私が厚労大臣の頃からしったも、おこられもしてきました。このまんまではいけない。石毛先生から、みんなで頑張らないといけない。顧問をやれといわれ、引き受けました。一生懸命頑張ります」と挨拶。 また、細川律雄前厚労大臣、長妻昭元厚労大臣、厚生労働委員会で野党の筆頭理事をされている自民党の田村議員、共産党厚労部会長の高橋議員、公明党の山口なつお代表、みんなの党の渡辺喜美代表から挨拶がされました。 不安ヘルパ また、中村哲治議員など参加された議員から自己紹介がされました。その後、「こころの健康推進議員連盟」の規約、結成の趣旨、役員などが提案・決定されました。決定した役員は次のとおりです。 最高顧問 尾辻秀久 顧 問 鴨下一郎、坂口力、長妻昭、細川律夫、山口那津男、渡辺喜美、 会 長 石毛えい子 副 会 長 浅尾慶一郎、阿部知子、櫻井充、高橋千鶴子、田村憲久、古屋範子 宮沢洋一、 事務局長 梅村聡、 事務局次長 山内康一、 幹 事 若干名 発足総会の最後に石毛会長は「この会は法律を作るだけが目的ではない。法律を作った以降もこころの健康推進を続けていく」と締めくくられました。 その後、イギリスで娘さんが統合失調症を発病して、精神医療の改革に取り組んだ医師の体験にもとづいた講演がありました。「イギリスの精神医療の抜本改革のきっかけは、家族と医師と議員が一緒に集まったときからである。日本の改革のはじまりの場所に同席できてうれしい」と感激されていました。 帰り道で皆さんと「今日は歴史の大きな転換点に遭遇できた」と話し合いました。 奈良県・まほろば会 奥田和男 |
「歴史の大きな転換点に遭遇できた」……確かに、そうかもしれません。これを境に、日本は精神医療による被害者を大量に生み出す国となりそうです。そして、それを推進しているのが国会議員というのですから、国民は救われません。
そもそもどうしてこういうことになったのか? バックにはオーストラリアがあるようです。
以下、Fonteの記事を張り付けます。
スーフォールズ、SD視力検査
・1990年代、オーストラリアの研究者を中心に統合失調症の前兆、または初期状態をいち早く発見し、治療していく必要性を訴える学説が注目を集めた。
・これらを受け1998年、小泉純一郎厚生大臣(当時)が訪豪し両政府間で「日豪保健福祉協力」を発表。
・2008年、国立精神神経センター精神保健研究所が精神保健改革を提言。
・2010年には長妻昭厚生労働大臣の呼び掛けにより「こころの健康政策構想会議」が発足。
・その後、「こころの健康政策構想実現会議」が立ち上がり、100万人署名運動を行なうなど運動が加速化。
・そして昨年12月に超党派の国会議員による議員連盟が発足。基本法案成立を目指している。
という流れです。(これはkebichan情報です)。
12月1日に発足した「こころの健康推進議員連盟」を設立した1人、公明党の古屋範子さんの当日付けブログには、以下のような書き込みがあります。
「議連の設立を推進してきた1人として、これ以上の喜びはありません。3年半前にうつ対策に取り組みはじめ、大野裕・西田淳志先生より認知行動療法、心の健康政策に関してご指導を頂きながら一歩一歩進んできました。両先生をはじめ、ここまで奔走してこられた「心の健康政策構想実現会議」の皆様に心から敬意を表したいと思います。議連の顧問に就任した山口代表も設立総会に出席し、「こころの健康」の推進基本法の成立に向け力強い決意を述べました。私も基本法の成立に、更に頑張るつもりです。」
なんとなく、いろんなつながりがわかりますね。
不安障害とSSIの障害
また、「こころの健康政策構想実現会議」のページでも、12月1日の様子を伝える記事がありますが、そこで紹介されている「うつ病当事者」の話は非常に興味深いものでした。
この男性は「うつ病」になってから十数年たって、ようやくサラリーマンとして社会に復帰したと言います。しかし、「今もなお通院し、薬を服用しているのです。薬がなくては眠ることができません。社会復帰していても、疾患が治癒されたわけではないのです。」
と書いています。
「心が病んだとき、当事者はその苦しみを口に出せないのです。周囲の人もわからないのです。ですから、こころの健康政策が必要なのです。国民はこころの健康を守られる権利があります。国は国民のこころの健康を守る責任があります。
もしこころの健康がすこし失われても安心して社会で暮らせる国、日本にしてください。精神疾患患者に十分な支援をして、より早く社会復帰できるような国、社会にしてください。そして、心健やかな、心豊かな日本にしてください。社会が変わらなくてはいけない。社会を変えなくてはいけないのです。こころの健康政策成立に向けて、国会議員の皆さんの力が必要です。」
十数年薬を飲み続けてもうつ病がよくならないのです。まずは、治療を疑ってみるべきと思います。疾患が治癒されたわけではない――とご本人も書いているように、精神科に行ってもうつ病は治らない(つまり、うつ病ではなかった? 誤診?)ということです。また、薬なしには眠れない――ベンゾの耐性で薬が効かなくなっているのかもしれません。
しかし、当事者の思いは複雑です。
多分この方は、「こころの健康基本法案」が成立すれば、精神疾患患者にとって日本がすごく住みやすい国になると考えているのかもしれません。心豊かな国、精神疾患に理解のある国、そして、一度戦線離脱した人でもリベンジが可能な国……。
しかし、それは「こころの健康」とあまり関係のないことかもしれません。別の領域の問題、たとえば経済の問題であったり、教育の問題であったり……。それを「こころの健康」というところにすり替えて論じているのは、わざとなのか、本気でこの法案が成立するとそのような素晴らしい国になると信じているのか……。
とにかく、当事者(の一部)も家族会(の一部)も政治家(の一部)も、精神医療の本質を見極めることなく、耳触りのいい言葉に騙されないでください。
日本精神科病院協会会長(山崎學氏)の新年のあいさつにはこうあります。
「医療提供のバロメーターである、アクセス、コスト、アウトカムいずれをみても、日本の精神科医療は世界一だと思います。」
「
もしこの言葉がジョークでないとしたら、これから先、日本の精神医療がよくなることは決してないということです。
そして、多くの被害者を出している現状を世界一と豪語する、反省なき医療へつなぐことを推奨する「こころの健康基本法案」、その制定を目指す「こころの健康推進議員連盟」など、現実を直視しない限り、決して日本の状況をよい方向に導くことにはならないでしょう。
ちなみに1月21日に参加されたみんなの党柿沢未途さんのツイッターを紹介します。
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